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- 投稿日
- 2025.06.26
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- 更新日
- 2025.06.26
「使用中のAIでは正確な回答が得られない」「自社の情報をAIに学習させたいけど、やり方が分からない」と感じたことはありませんか。
そのような悩みを解決するのが、ノーコードで生成AIアプリを開発できるツール「Dify」です。
Difyには事前に登録したPDFや業務マニュアルなどを基に正確な回答を生成できる「RAG機能」が搭載されています。
本記事では、DifyのRAG機能の仕組みや具体的な活用事例、チャットボットを作成する方法を解説します。
目次
Difyとは?
Difyとは、プログラミングの知識不要で生成AIアプリを開発できるツールです。
主な特徴を4つ紹介します。
- 初心者でも簡単に生成AIアプリを構築できる
- ビジネスシーンに応じたLLM(大規模言語モデル)を選択できる
- 自社環境に合わせて自由にカスタマイズできる
- 外部ツールやAPIとの連携で高性能なAIアプリを構築できる
初心者でも簡単に生成AIアプリを構築できる
Difyはプログラミング知識がなくても、直感的な操作で生成AIアプリを構築できるツールです。
画面の案内に従ってドラッグ&ドロップで各種の設定をしていくだけで、AIチャットボットやAIエージェントといったAIアプリを開発できます。
操作画面もシンプルで分かりやすいため、ITツールに苦手意識を持っている方でも安心して使えるでしょう。
用途に応じたLLM(大規模言語モデル)を選択できる
Difyでは、用途に応じて複数のLLM(大規模言語モデル)を使い分けることが可能です。
対応モデルはChatGPTやClaude、Llamaをはじめ多岐にわたります。
複数のモデルを組み合わせて使用することもでき、タスクごとに適切なモデルを採用できます。
自社環境に合わせて自由にカスタマイズできる
Difyは、クラウド環境だけでなく、自社サーバー上や社内ネットワーク内などのオンプレミス環境での運用にも対応可能です。
「クラウドではセキュリティ面が不安」と感じている企業は、ローカル環境でのアプリ運用を望む場合が多いでしょう。
Difyなら、ローカル環境でAIアプリを構築・管理できるため、情報の漏えいリスクを減らせます。
Difyはオープンソースツールのため、ローカル環境で利用すればソースコードを自由に改変し、独自機能を柔軟に追加できるのもメリットです。
また活発なコミュニティがあるため、開発中に困ったことがあっても情報を見つけやすく、柔軟に対応しやすいのも魅力です。
外部ツールやAPIとの連携で高性能なAIアプリを構築できる
Difyは、外部ツールとのAPI連携も可能で、業務フローや既存システムに合わせた柔軟なAIアプリの構築が可能です。
連携可能なツールは、Google検索やSlack、Notionなど多岐にわたります。
RAGとは?
Difyで使える便利な機能の一つに「RAG」があります。
RAGとは「Retrieval-Augmented Generation」の略称で、LLMがユーザーの質問に対して、任意のデータを参照しながら回答を生成する機能のことです。
本来、生成AIの回答精度を高めるには、時間やリソースをかけて機械学習を繰り返し行う必要があります。
しかし、RAGを使用すれば、事前に登録したPDFやWebページ、マニュアルなどの情報をその場で検索し、その内容を基に高精度な回答をユーザーに提供できます。
例えば、顧客からの問い合わせが多い商品情報をまとめたドキュメントを、ナレッジとして組み込んでおけば、問い合わせ時にAIが正確な情報を即座に返すことが可能です。
また従来のAIでは、社内規定やマニュアルといった独自情報への対応が困難です。
しかし、RAGを使えば、事前に該当資料を追加するだけで、特定の企業や業務に特化した対応ができるようになります。
RAGの情報処理の仕組み
RAGの情報処理の仕組みは、大きく分けて「検索」と「生成」の2段階に分かれます。
ユーザーが質問を入力すると、AIはその質問をエンコーダ(意味を数値化するモデル)によってベクトル(数値の集合)に変換します。
これは、文章の意味や文脈を数値として表現する技術です。
このベクトル化された質問と類似する情報を、AIはあらかじめ組み込まれているナレッジベース(社内規定やマニュアルなど)から、ベクトル検索によって抽出します。
ベクトル検索とは、数値化されたベクトル同士の距離や類似度を計算することで、意味的に近い情報を効率的に見つけ出す技術を指します。
以上で、検索フェーズは終了です。
続く生成フェーズでは、抽出した関連情報をLLMに渡し、その内容を基に人間が理解しやすい自然な文章で回答を組み立てます。
最終的に、ユーザーにその回答が返されます。
以上で、生成フェーズは終了です。
このようにRAGは、ユーザーの質問の意味を理解して関連情報を探し、その情報を分かりやすい形で伝えるという一連の処理を担っています。
DifyのRAG機能とは?
先述のように、DifyにはRAG機能が搭載されています。
事前に参照させたいデータをナレッジベースとしてシステムに組み込むことで、そのデータを基に正確な回答を生成します。
管理画面で簡単にデータを追加できるため、専門知識がなくても自社のナレッジを生かしたAIアプリを構築することが可能です。
さらに、設定を細かく行うことで、回答生成時に参照する情報の範囲を絞ったり、出力される文章のトーンや長さといったスタイルを変えたりするなど、柔軟な調整ができます。
【6ステップ】DifyのRAG機能を活用したチャットボットを作る方法
ここでは、DifyのRAG機能を活用したチャットボットを作成する方法を紹介します。
チャットボットは、社内外からの問い合わせ対応を効率化できるアプリです。
RAG機能で任意のドキュメントを読み込ませれば、より回答精度の高い回答を得られるようになるため、ぜひ参考にしてください。
具体的な手順は、以下の通りです。
- Difyのアカウントを作成する
- 参照させたいナレッジ(ドキュメントなど)を登録する
- Dify管理画面の「最初から作成」から「チャットボット」を選択する
- 「コンテキスト」からナレッジを追加する
- チャットスペース下の「有効な機能」から「引用と帰属」をオンにする
- 作成したチャットボットを公開する
- 各手順について説明します。
1.Difyのアカウントを作成する
まずは、Difyの公式WebサイトからDifyアカウントを作成します。
Webサイトにアクセスしたら、画面右上の「始める」をクリックし、案内に従ってアカウントを作成しましょう。
GoogleやGitHubのアカウントを使ってログインすることも可能です。
2.参照させたいナレッジ(ドキュメントなど)を登録する
ログイン後、Difyに参照させたいナレッジを登録します。
上部メニューから「ナレッジ」をクリックし「+ナレッジベースを作成」から参照ファイルをアップロードしてください。
アップロード後は「次へ」をクリックします。
続いてチャンク設定やインデックス方法、検索設定などのナレッジ設定に入ります。
特に希望がなければそのままで構いませんが、回答精度を高めるなら、検索設定を「ハイブリッド検索(ベクトル検索+全文検索)」にすると良いでしょう。
設定後は、画面下の「保存して処理」をクリックしてください。
「ナレッジベースが作成されました」と表示されれば登録完了です。
3.Dify管理画面の「最初から作成」から「チャットボット」を選択する
上部メニューの「スタジオ」からDify管理画面に戻り「最初から作成」をクリックします。
アプリの種類選択画面が表示されたら「チャットボット」を選択しましょう。
選択したらアプリのアイコンや名前、説明を記入し「作成する」ボタンをクリックします。
4.「コンテキスト」からナレッジを追加する
設定画面に移動したら、オーケストレーションの上から3番目の「コンテキスト」の「+追加」を選択します。
そうすると「参照する知識を選択」と出てくるため、ステップ2で登録したナレッジを選択して「追加」をクリックしましょう。
コンテキストの欄に該当のファイルが表示されていれば、追加完了です。
5.チャットスペース下の「有効な機能」から「引用と帰属」をオンにする
チャットの回答に、参照元のドキュメントを明示したい場合は、チャットスペース下の「有効な機能(オレンジのアイコン)」の「管理→」にある「引用と帰属」を有効化しましょう。
オンにすると、回答時にどの資料を参照して回答を生成したか表示されるようになります。
6.作成したチャットボットを公開する
設定が完了したら、画面右上の「公開する」から「更新を公開」をクリックしましょう。
「アプリを実行」をクリックすると、チャット画面が開きます。
実際に質問してみて、登録したナレッジに基づいて正しく回答しているかを確認しましょう。
DifyのRAG機能の具体的な活用シーン
DifyのRAG機能を活用できる具体的なシーンは、以下の通りです。
- 社内FAQの自動応答チャットボット
- カスタマーサポートの問い合わせ対応
- 営業資料・議事録などの作成・要約
- 研究・開発部門におけるエビデンス検索
例えば、社内ルールや手続きに関するよくある質問をナレッジに登録しておけば、従業員からの問い合わせにAIが自動で回答してくれます。
これにより、人事や総務、情報システム部門の業務負担が軽減されます。
さらに、Difyは研究や開発部門におけるエビデンス検索ツールとしても活用可能です。
システム開発の設計マニュアルを組み込んでおけば、開発中の疑問もDifyで作成したチャットボットに聞くだけで必要な技術情報がすぐに見つかります。
DifyのRAG機能を活用して高性能な生成AIアプリを開発しよう
DifyのRAG機能を活用すれば、社内データや業務ドキュメントを基に正確な回答を生成でき、生成AIアプリの実用性を大きく高められます。
ノーコードで開発できるため、専門知識がなくてもスムーズに業務への導入が可能です。
また本記事でご紹介したようにチャットボットとして活用する以外にも、AIエージェントやワークフローなどのアプリ開発にも応用できます。
TDSE株式会社では、Difyのテクニカルサポートを行っています。
Difyの導入や活用についてお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。
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