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- 投稿日
- 2025.09.29
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- 更新日
- 2025.09.29
AIを業務に取り入れても「外部ツールとの連携が複雑」「最新情報を扱えない」といった課題に直面するケースがあります。
APIを連携のたびに設定するのは時間と手間がかかるため、何か良い解決策がないかと悩んでいる方も多いでしょう。
DifyとMCPを連携すれば、開発者の労力を軽減しつつ、外部の情報をAIが直接扱えるようになります。
本記事では、Dify・MCPの仕組みやメリット、LLMとの関係性、連携方法を詳しく解説します。
【この記事で分かること】
- Dify・MCPの基礎知識
- MCPとLLMの関係性
- DifyとMCPを連携するメリット・活用事例
- DifyとMCPを連携する方法・手順
目次
DifyとはノーコードでAIアプリを構築できるツール
Difyとは、コードを使わずにAIアプリを構築できるツールです。
一般的に、AIアプリを生成するには、プログラミングやコーディングの知識が必要です。
しかしDifyを使用すれば、専門知識がなくても直感的な操作でアプリを構築できます。
また、OpenAIやAnthropic、Llamaなど高性能なLLM(大規模言語モデル)とも連携できるため、さまざまなビジネスニーズに対応したアプリの開発が可能です。
業務効率化から新しいサービス開発まで、多様なシーンで活用できるのが大きな特徴です。
MCPとはAIの機能を拡張するための共通ルール
MCP(Model Context Protocol)とは、AIが外部のサービスやアプリケーションと連携し、機能を拡張するためのオープンなプロトコルです。
通常、AIと外部サービスと連携する際は、API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を通じて情報をやり取りします。
APIは外部のツールやサービスに対して「この情報をください」「この処理をしてください」と指示を出すための窓口です。
APIでもAIの機能性を拡張することは可能ですが、APIは連携のたびに個別に設定しなければなりません。
例えば、地図サービスを利用する場合「地図を表示する」「ルートを検索する」など機能ごとに異なる関数を呼び出し、細かい条件を指定する必要があります。
開発者がその都度プログラムを書き換えなければならず、構築するのに手間と時間がかかるのです。
しかし、MCPを導入すると、このようなバラバラの仕様をひとまとめにし、共通ルールとして扱えるようになります。
連携のたびにプログラムを何度も書き換える必要がなくなるため、開発時間やコストを削減できます。
MCPとLLMの関係性
MCPは、LLM(大規模言語モデル)の能力をさらに引き出すために重要な役割を果たします。
LLMは高度な文章生成や質問応答能力を有する一方で、学習データに基づいて知識を獲得するため、最新情報の取得や社内システムへのアクセスには限界があります。
しかし、MCPを活用すれば、社内データベースやメールシステム、Web検索ツールなどと連携できるため、LLMはリアルタイムの情報を取り込んだり、社内のルールやシステムに沿って回答したりすることが可能です。
【5STEP】DifyとMCPを連携する方法・手順
MCPで外部ツールを連携するためのルールを作り、DifyでAIアプリを開発すれば、構築の手間を軽減しながら外部ツールの情報を活用できます。
DifyとMCPを連携するまでの手順は、以下の5STEPです。
- 事前準備|Difyのアカウントを作成する
- STEP1|Zapier MCPの設定を完了する
- STEP2|MCPサーバーのURLを発行する
- STEP3|使いたいアクションを追加する
- STEP4|DifyでMCPエージェントを作る
- STEP5|プレビューで正常に動作するか確認する
ここでは、例としてGoogleカレンダーとDifyで生成したAIアプリを連携させる方法・手順を解説します。
事前準備|Difyのアカウントを作成する
まずは、Difyのアカウントを作成しましょう。
Difyの公式Webサイトにアクセスし、右上の「始める」をクリックします。
メールアドレスを入力してコードを取得し、指示に従ってアカウントを設定しましょう。
メールアドレス・Google以外にも、GitHub Googleのアカウントでもログインできます。
STEP1|Zapier MCPの設定を完了する
Difyのアカウント登録が完了したら、Zapier MCPの設定を行います。
Zapier MCPとは、AIエージェントがZapierのアプリとやり取りできるようにするための接続ルールです。
営業支援ツールや日程調整システム、データ収集などの業務効率化ツールの開発に活用されています。
Zapier MCPの設定を行うことで、Difyで生成したAIがGoogleカレンダーやGmailなどの外部ツールと連携できるようになります。
まずはZapierの公式サイトにアクセスし、画面中央のオレンジ色になっている「Get started」をクリックしてください。
ログイン方法は複数あり、メールアドレスの他にGoogleアカウントでも登録できます。
利用しやすい方法を選んでアカウントを作成しましょう。
アカウント作成後、運営からの質問に回答したら設定は完了です。
STEP2|MCPサーバーのURLを発行する
Zapier MCPを利用するためには、外部のAIからアクセスするための専用URLを発行する必要があります。
Zapierにログインしたら、画面左の「Settings」から「MCP」を選択します。
設定ページが開いたら「Generate URL」をクリックしましょう。
クリックしたら「Copy URL」を選択してURLをコピーします。
発行したURLは、外部AIとZapierを接続するために必要になるため、第三者に知られないよう安全な場所に保管してください。
STEP3|使いたいアクションを追加する
MCPサーバーのURLを発行したら、次はZapierで利用するアクションを追加しましょう。
先ほどコードを発行した「Copy URL」の下にある「Quick Start」から「Configure the actions」をクリックします。
もしくは「https://actions.zapier.com/mcp/start/」からアクセスし、アクション設定画面に遷移してください。
画面が切り替わったら「Add a new action」をクリックし、利用したいサービス名を検索します。
例えば「Google」と入力すると、Google関連のアクションが一覧表示されます。
ここでは例として、Googleカレンダーの予定を取得する「Google Calendar: Find Event」を選択しましょう。
選択後は「Connect a new Google Calendar account」をクリックし、その先の画面で「Enable action」を選択します。
追加完了の画面が表示されることを確認したら、STEP4に進みましょう。
STEP4|DifyでMCPエージェントを作る
STEP4では、DifyとMCPを接続するためDify内でエージェントを作成します。
以下の手順で進めましょう。
- Difyにログインし、アプリを新規作成する
- エージェントノードを追加する
- エージェント設定でMCP Agentを有効化する
- 必要なパラメータを設定する
4-1.Difyにログインし、アプリを新規作成する
まずはDifyにログインし、アプリを新規作成しましょう。
STEP1で登録したアカウントにログインし、画面左上の「アプリを作成する」より「最初から作成」を選択しましょう。
画面が変わったら「チャットフロー」を選択し、アプリのアイコンと名前・説明を入力して「作成する」をクリックしてください。
説明は任意のため、入力しなくても問題ありません。
なお、今回は「チャットフロー」を選択しますが、他にもチャットボットやエージェント、テキストジェネレーターなどがあります。
ビジネスシーンに応じて、作成するアプリを選んでください。
画面が切り替わり、チャットフローの画面が表示されていたらアプリ新規作成は完了です。
4-2.エージェントノードを追加する
続いて、エージェントノードを追加します。
「開始」ブロック横の「+」をクリックし、メニューの中から「エージェント」を選択し、回答ブロックと接続します。
4-3.エージェント設定でMCP Agentを有効化する
エージェントノードを追加したら、エージェント設定でMCP Agentを有効化します。
まずは「回答」ブロックをクリックし、右に表示された設定画面の「応答」から「(x)」をクリックしてください。
変数が表示されたら「エージェント/text」を指定します。
次に、エージェントノードを選択し、右の設定画面の「エージェンティック戦略」の検索欄に「MCP Agent」と入力します。
検索結果で「MCP FunctionCalling」が表示されるため、そちらをクリックしてください。
「MCP FunctionCalling」が表示されない場合は「マーケットプレイスで検索」からインストールしましょう。
4-4.必要なパラメータを設定する
エージェントノードを選択し、以下のパラメータを順に設定します。
- MODEL:使用するモデルを選択する(今回はgpt-4o-miniで設定)
- TOOLS LIST:「CurrentTime」を選択し、Timezoneを「Asia/Tokyo」に設定する
- MCP Server URL:Zapier MCPで発行したURLを入力し「保存」をクリックする
- INSTRUCTION:「ユーザーの指示に従い、適切なツールを選択してください」など、AIに与える指示を入力する
- QUERY:「/sys.query」と設定すると基本的な連携ができる
なお、MCP Server URLは直接貼り付けても動作しますが、環境変数にしておくとセキュリティ対策になります。
ここまで設定が完了したら、エージェントノードの準備は完了です。
STEP5|プレビューで正常に動作するか確認する
エージェントノードの設定が完了したら、実際に動作確認を行いましょう。
まずは、画面右上の「プレビュー」を選択し、チャット欄に「〇月〇日の予定を教えて」といった質問を入力します。
連携が正しく行われていれば、AIがGoogleカレンダーのスケジュールを取得し、回答を返します。
プレビューで期待していた回答が得られれば、DifyとMCPの連携は完了です。
Dify×MCPの活用事例3選
DifyとMCPを連携させると、さまざまなビジネスシーンで業務効率化が期待できます。
ここでは、具体的な活用事例を3つ紹介します。
AIチャットボットを使ってメールを一斉送信
Difyで生成したAIチャットボットにMCPを組み合わせると、メールの一斉送信も可能です。
チャット欄に「一斉メールを送信して」と指示するだけで、MCPが連携済みのサービスを通じて下書きを生成し、指定した受信者に送信します。
定型連絡などが多い場合には、一斉送信を自動化することで日常的なやり取りの手間を減らせるでしょう。
請求書の自動処理で作業効率を向上
経理部門でMCPとDifyを使用すれば、作業効率の向上が期待できます。
例えば、MCPを活用して社内に保存されたPDFの請求書を読み取り、Difyのワークフローで自動的に仕分け・集計する仕組みを構築することも可能です。
手入力の手間を減らせる上、請求書を社内で処理できるため、セキュリティ対策の強化にもつながるでしょう。
議事録作成の手間を省きルーティンワークを効率化
DifyとMCPの組み合わせは、ルーティンワークの効率化も期待できます。
例えば、営業担当者が行う会議の議事録作成は、文字起こしや整理などに時間がかかります。
DifyとMCPを活用すれば、Difyで会議音声を自動で文字起こしから要約まで行い、その後MCPを通じて社内の日報システムにそのまま連携することが可能です。
議事録作成の手間が省ければ、社員はより重要度の高い業務に集中できるようになるでしょう。
DifyとMCPを連携してAIアプリの機能性を上げよう
DifyとMCPを連携させれば、外部ツールや社内システムとAIを簡単に接続でき、日常業務の自動化や情報活用の幅が広がります。
Googleカレンダーやメール連携はもちろん、請求書処理や議事録作成などの業務の効率化も期待できます。
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