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Difyでワークフローを作る手順を10STEPで紹介! 各ブロックの概要や定義も解説

  • 投稿日
    2025.07.17
  • 更新日
    2025.07.17

社内の業務効率化を図りたくても、どのようなツールを導入すべきか分からない企業担当者の方も多いのではないでしょうか。
Difyのワークフロー機能を活用すれば、毎日の業務を自動化できるAIアプリを開発できます。

本記事では、Difyでワークフローを作成する手順を10STEPで解説します。

Difyはプログラミングの知識不要でAIアプリを開発できるツール

Difyは、プログラミングの経験がない人でも簡単にAIアプリを開発できるツールです。
ドラッグ&ドロップで直感的にブロックを組み立てていけば、ノーコードでAIアプリを開発できます。

具体的に開発できるAIアプリは、チャットボットやAIエージェント、ワークフローなどです。
業務効率化に役立つアプリを効率よく構築できるツールとして、多くの業界で導入されています。

Difyのワークフローの定義と特徴

Difyで開発できるAIアプリの一つに、ワークフローがあります。
開発手順を確認する前に、ワークフローの定義や仕組みを理解しましょう。

ワークフローの定義とは?

ワークフローとは、一つの業務を完了させるまでの進め方や手順のことです。
業務を進める際、各工程の担当者が決められた役割を果たしながら仕事を進めていきます。

例えば、企業の発注作業であれば、在庫を確認する人、発注を許可する人、実際に発注する人、決済を行う人などが協力しながら作業を完結させます。

AIアプリにおけるワークフローも同様で、あらかじめ設定された手順に沿って、AIが自動的に業務を進めるイメージです。
ワークフローが効率化されると、業務負担を減らせたり、人件費を削減できたりとメリットを多く感じられます。

Difyで開発できるワークフローとは?

Difyで開発できるワークフローとは、一つひとつの作業をブロックとしてつなげ、業務を自動で進めるAIアプリを構築する機能です。

開発画面には「開始」「終了」「LLM」などのブロックが用意されています。
ブロック同士を連結させ、開始から終了までのプロセスを組み立てると、一つの業務が完了する仕組みです。

「チャットフロー」もありますが、チャットフローは顧客や従業員からの問い合わせを自動化するときに向いています。
一方ワークフローは、社内で繰り返し発生するルーティンワークや資料作成などの定型作業を自動化する際に適している機能です。

Difyワークフローで使用するブロックの概要

Difyのワークフローで使用するブロックは、全部で17種類あります。
それぞれの役割を理解し、適切な場所で使用することで、業務やビジネスシーンに応じたAIアプリを開発できます。

どのブロックをどこで使用すべきなのか把握し、開発作業をスムーズに進めましょう。

開始

開始は、ワークフローを進めるプロセスの最初に置くブロックです。
ワークフロー全体の出発点として、入力データを受け取る役割を果たします。

例えば、営業担当へのメール作成のワークフローであれば「9時に営業担当への一斉メールを作成する」と開始ブロックを置くことで、一連の流れがスタートします。

LLM

LLMは、AIによるテキスト生成や要約などを行うときに使用するブロックです。
指定のLLM(大規模言語モデル)を活用し、プロンプト(指示内容)に基づいてテキストを生成します。

例えば、顧客の質問に応じた回答の自動生成をしたいときや、指定データを基に資料を作成してほしいときなどに使用します。

知識取得

知識取得は、社内のドキュメントや指定のWebページなどのナレッジを取得したいときに使用します。
具体的には、社内で保管している業務マニュアルを知識取得ブロックで連携させることで、AIがマニュアルの内容を参照しながら回答や提案を生成できるようになります。

終了

終了は、ワークフローのプロセスの最後に設置するブロックです。
処理が完了したことを示し、業務の一連の流れを締めくくる役割を果たします。
終了ブロックが実行されると、ユーザーに回答を提供する他、別のワークフローやアプリへのデータ引き継ぎなどを行います。

エージェント

エージェントは、Difyのワークフローの中で「AIが自らツールを選んで実行する仕組み」を担うパーツです。
エージェントブロックを使うと、AIが状況に応じて適切なツールを自動で呼び出せるようになります。
主に、複数のツールを使用して業務を完了させるプロセスで使用します。

質問分類器

質問分類器は、ユーザーからの質問内容を自動で分類するためのブロックです。
質問文をAIが解析し、カテゴリ分けをします。
回答を生成する際は、そのカテゴリに関連した情報をAIが活用するため、より的確な回答が得られます。

例えば、顧客から「A商品の在庫を教えてください」と質問が投げかけられた場合、その質問を「A商品」といったカテゴリに分類し、回答を生成する仕組みです。

IF/ELSE

IF/ELSEは、条件分岐を実行するブロックです。
ある条件に合致した場合には「IF」に設定した処理を、条件に合わない場合には「ELSE」に設定した処理を実行します。

例えば、ユーザーが「購入希望」と入力した場合には、IFに設定した「購入手続きに進みます」を表示します。
それ以外の入力には、ELSEに設定した「別の商品をご紹介します」を表示するイメージです。

イテレーション

イテレーションは、同じ処理を繰り返すためのブロックです。
主に、繰り返し作業が必要な業務のワークフローで使用します。
例えば、複数の顧客情報を順番に確認し、必要な項目を抽出してリスト化するなどの作業を自動で繰り返せます。

同じ作業を繰り返すと業務効率が落ちますが、イテレーションを設置すれば人的ミスを減らしながらスムーズにワークフローを進めることが可能です。

ループ

ループは、繰り返し処理を行うためのブロックです。

イテレーションブロックが「同じ作業をリストの全項目に適用する」動きなのに対し、ループブロックでは「前回の結果を基に次の処理を行う」といった性質があります。
例えば、前回の計算結果を基にデータ処理を行いたいときなどに向いています。

コード実行

コード実行は、PythonやNodeJSなどのプログラミングコードを実行するブロックです。
ワークフロー内に設置することで、複雑な計算やテキスト処理、外部ツールへのリクエストなどを自動化できます。

標準的な機能だけでは対応できない業務フローにも対応できるようになり、業務の負担をより軽くできます。

テンプレート

テンプレートは、保存した特定のテンプレートにデータを入力し、テキストを呼び起こすブロックです。
ワークフロー内で繰り返し使う文面や構造をあらかじめ用意しておくことで、作業の効率化や品質のばらつきを抑えられます。
社内の一斉メールや報告書、レポートの作成などに活用できます。

変数集約器

変数集約器は、複数の変数をまとめて一つのデータとして整理するブロックです。
例えば、複数の回答文を一つの文章にまとめたり、顧客情報を一つのリストに集約したりするときに役立ちます。
情報が一つの場所に集約されることで、後続の処理をスムーズに進められます。

テキスト抽出

テキスト抽出は、指定されたデータから必要な情報だけを取り出すブロックです。
車内ドキュメントや指定の文書ファイルから、特定のキーワードやフレーズを抽出し、ユーザーに回答を提供します。

抽出した情報は、一度LLM(大規模言語モデル)に送信され、人間が理解できる言語に直してから回答を生成します。

変数代入

変数代入は、特定のデータや値を変数に変換するブロックです。
ワークフロー内で扱うデータに名前を付けて管理し、必要に応じて後続の処理で使えるようにします。

例えば、顧客からの注文内容や計算途中の数値など、状況によって変わるデータを一時的に変数に保管できます。
後のブロックで保存した変数を呼び起こせば、複雑な処理でもデータを正確に管理することが可能です。

パラメータ抽出

パラメータ抽出は、ユーザーの入力内容やAIが生成した文章から、必要な情報を取り出して整理するブロックです。
LLMの自然言語能力を活用し、文章に含まれる日付や数値、キーワードなどを特定します。
ワークフローにおいて、スムーズなツール連携を実現する重要な役割を果たします。

HTTPリクエスト

HTTPリクエストは、外部のツールやAPIにデータを送るためのブロックです。
このブロックを使うと、外部の在庫管理システムに在庫数を送ったり、別のサービスから最新情報を取得したりできます。
社内のシステムだけでは補えない情報や機能を、スムーズに取り込めるようになります。

リスト処理

リスト処理は文章や画像、音声などの複数のファイルを同時にアップロードできるブロックです。
アップロードされたファイルをまとめて扱えるだけでなく、必要なデータをフィルタリングして抽出したり、特定の条件に従って並べ替えたりできます。

【10STEP】Difyでワークフローを開発する手順

ここでは、Wikipediaを参照しながら物事を説明してくれるワークフローを作成する手順を紹介します。

実際の手順に進む前に、DifyWebサイトからアカウントを作成しましょう。
Webサイトにアクセスしたら、画面右上の「始める」をクリックし、指示に従ってアカウント登録を完了させましょう。
Googleアカウント、もしくはGitHubアカウントでもログインできます。

1. ホーム画面からワークフローを立ち上げる

まずは、ホーム画面からワークフローを立ち上げましょう。
Difyにログインし、ホーム画面の「アプリを作成する」から「最初から作成」を選択します。

画面が変わったら、アプリの選択画面で「ワークフロー」をクリックします。
「アプリのアイコンと名前」と「説明(任意)」を入力し、青いボタンの「作成する」をクリックしてください。

2. 「ツール」から「Wikipedia Search」を選択する

作成画面に移ったら「開始」ブロックの横に表示されているタブから「ツール」を選択します。

ツールとは、Google検索や画像生成ツールなどの外部ツールを連携できる機能のことです。
例えば、Googleを選ぶと、AIはGoogle検索でリアルタイムの情報を取得して回答を生成できます。

今回はWikipediaを参照するワークフローを作るため、検索欄に「Wikipedia」と入力して「Wikipedia Search」を選択します。

3. 「ブロック」から「LLM」を選択する

次は「Wikipedia Search」のブロックから「LLM」を選択します。
「Wikipedia Search」ブロック右端の「+」をクリックし、「ブロック」の中から「LLM」を選択しましょう。

4. 「ブロック」から「終了」を選択する

続いて「LLM」右端の「+」をクリックし、「ブロック」の中から「終了」を選択します。
「終了」は、業務の流れが一通り終わったゴール地点のことです。
基本的にワークフローの最後に設置します。

5. 「開始」から「入力フィールド」の「+」をクリックする

ブロックを一通り設定したら、次はブロックの詳細設定に移ります。
「開始」ブロックを選択し、画面右側に「入力フィールド」と記載された設定画面が表示しましょう。

6. 入力フィールドの各項目を設定して「保存」をクリックする

次は「入力フィールド」横にある「+」をクリックし、以下の項目を順番に設定しましょう。

  • フィールドタイプ
  • 変数名
  • ラベル名
  • 最大長

まずは、希望のフィールドタイプを選択します。
フィールドタイプの種類は、以下の6つです。

  • 短文:名前や質問などの短いテキスト、ユーザーが内容を入力する
  • 段落:説明などの長いテキスト、ユーザーが内容を入力する
  • 選択:選択肢をあらかじめ用意し、ユーザーはその選択肢の中から選ぶ
  • 数値:ユーザーは数字のみ入力できる
  • 単一ファイル:ユーザーがファイル一つだけをアップロードできる(テキスト・画像・動画など)
  • ファイルリスト:ユーザーが複数のファイルをアップロードできる(テキスト・画像・動画など)

ワークフローで自動化する業務に合わせて、希望のフィールドタイプを選びましょう。
今回は「短文」を選択します。

変数名は、ユーザーが入力したデータをAIに受け渡すときに使用する名前のことです。
理解しやすい英語で設定しましょう。
ここでは「question」と入力します。

ラベル名は、入力する内容を具体的に示す目印のようなものです。
例えば、ラベル名を「質問を入力してください」に設定すれば、ユーザーは「ここに質問を入力すれば良い」と瞬時に理解できます。
日本語でも良いですが、今回は分かりやすく「question」と入力します。

最大長は、ユーザーが入力できる文字数の上限です。
文字数を制限することで、スムーズなデータのやり取りを可能にします。
ここでは「50」と入力します。

7. 「Wikipedia Search」から入力変数を設定する

入力フィールドが設定できたら「Wikipedia Search」ブロックを選択します。
「Query String」の欄に「/(スラッシュ)」を入力し、表示された変数の中から「question」を選びましょう。

「Language」は、日本語を示す「ja」を入力してください。

8. 「LLM」からtextとプロンプトの設定をする

次は「LLM」ブロックを選択し、画面右側に表示された設定画面の「コンテキスト」から「text」を選びましょう。

「SYSTEM」には「/(スラッシュ)」を入力し、表示された変数の中からWikipedia Searchの「text」を入力します。
社内に専用のプロンプトがあれば、そちらを入力しましょう。

9. 「終了」から出力変数を設定する

「終了」ブロックを選択し、画面右側の設定画面で出力変数を設定しましょう。
出力変数は、LLMの「text」を選びます。

10. 画面右上の「実行」から正しく動作するか確認する

最後に画面右上の「実行」を選び、ワークフローで使用する単語・文章を入力したら「実行を開始」をクリックしましょう。

例えば「AI」について知りたい場合は「AI」と入力します。
タブを「入力」から「結果」に切り替え、正常に動作していたら全ステップは終了です。

Difyのワークフローの活用事例

Difyのワークフローは、以下のような業務で活用できます。

  • カスタマーサポート・社内ヘルプデスクの一次対応
  • コンテンツの自動生成
  • ルーティンワークの自動化
  • データ分析の効率化

ワークフロー機能では、LLMを活用した回答生成システムを開発できるため、カスタマーサポートや社内ヘルプデスクの一次対応に導入できます。

SNSの投稿文や広告バナー、記事制作などのコンテンツの自動生成も可能です。
例えば、ある商品情報をまとめたドキュメントをワークフロー内に組み込めば、それを基にターゲットに応じたSNSの投稿文を作成してくれます。

その他には、人事や総務のルーティンワークにも活用できます。
請求書を手作業で処理するのは手間がかかりますが、ワークフローでタスク自動化アプリを生成すれば、効率よく処理できるようになるでしょう。

さらに、データ分析にも役立ちます。
例えば、市場調査のデータを集約できるアプリをDifyで開発することで、マーケティングの分析作業が効率化されます。

Difyのワークフローで業務を自動化しよう

Difyのワークフロー機能を活用すれば、文章作成やデータ整理、資料作成などのルーティンワークを効率化できます。
各ブロックの役割を理解して組み合わせてタスク自動アプリを開発することで、社内業務をスムーズに進められます。

AIを活用した業務効率化を図りたい場合は、ぜひDifyでワークフローを開発してみてはいかがでしょうか。


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